人生最後の問題1
いわゆる人生もいかに終わりにするか、という「終活」の問題についてこんなことがありました。
「ほんまに、こんな汚いべべ着てすんまへん」
八十歳のおばあちゃんは、恥ずかしそうにそう言ったが、小ざっぱりした年相応の服を身につけた彼女には、お上品なおばあさんという雰囲気があった。
「二度も盗難にあい、着物や貴金属は全部なくなってしまったんだす。
老婆の独り住まいというので狙われやすいんでしょうな」
十年前に夫が死亡し、子供はいない。
兄弟も死に絶え、おいやめいが遠くにいるが付き合いはない。
夫の残した預金がわずかばかりあるだけで、借家住まいである。
他に収入は、遺族年金として月五万五千円あるのみ。
しかし、家賃が二万円かかるのに、五万五千円の年金だけでは、毎月赤字になるのは当然。
そこで、預金を少しずつつおろして使っている。