未来に向かって 2

なにがあったのかしらと、一瞬ドキッとし、胸さわぎがしました。

夫が風邪でもこじらせ、入院したのだろうか。

家に電話をかけましたが、だれも出ません。

少しおいてまた、かけてもつながりません。

一緒に来た会社の人たちは温泉に入りにいかれましたが、私はそれもせず、部屋で息子からの連絡を待ちました。

五時すぎ、やっと「京都からです」と呼び出された電話で、私は信じられない話を聞かされました。

夫が会社で午後の仕事を始めてまもなくふーっと倒れたそうです。

かたわらの課長さんがあわてて抱き止め、横にさせ、すぐに会社の産業医と救急車を呼んだそうです。

しかし、人口呼吸の甲斐なく五分くらいで息を引きとったと言うのです。

あまりに突然のことでなにがなんだか分からず返事も忘れておりました。

が、しばらくしてやっと夫が会社の仕事中に亡くなったことがわかりました。

「お世話になりました」と言うのがやっとでした。

課長さんは、「日ごろから、『中居さん、体は大事にしいや。

無理せんときや』と何度も言っていたのに、こんなことになって……」と言われましたが、なんだか私には言い訳がましく聞こえました。

私はすぐにタクシーに飛び乗り、JRに乗りついで家へもどりました。

よりにもよってこんな時に倒れるなんて…という感じですよね。

未来に向かって 1

日本の奇跡的といわれるスピードでの経済発展。

その反面で、犠牲になっていったものがたくさんあったと思います。

こんな話を紹介したいと思います。

もう一日だけ、私は夫に、会社を休んでもらうべきでした。

いまでもあの朝が思い出されます。

一九九〇年三月十六日の朝。

私はパート先の会社の慰安旅行で北陸の温泉めぐりに出かけるところでした。

前日の十五日、夫は、風邪ぎみでしんどいからと会社を休んでいました。

でも、この日、「あんまり気分はすぐれないけれど、二日も休んだら課長がうるさいから出勤するよ」と、起き出してきました。

朝食の用意をしてから私は、「二、三日留守になりますけどお願いします」と夫に話しかけました。

でも、なぜか返事をしてくれません。

いつもなら、「気をつけて行ってこい」とか言ってくれはるのに、なんで返事をしてくれなかったのかしら?となぜか気がかりでした。

あとで思えばそのとき夫は、ひどく元気のない横顔をしていました。

集合時間の都合があるので、私は夫より先に家を出ました。

自分はしんどくても仕事に行かねばならないのに、女房は温泉旅行、というのがおもしろくないのかしら、と思いながら和倉温泉へと出かけました。

夫がそのとき、疲れきっていて倒れる寸前だったなんて夢にも思いませんでした。

午後四時四十分ころ和倉温泉の宿に着いたとき、フロントから「二時半ころ息子さんからお電話がありました」と伝言がありました。

身の回りのエコ

たとえば、自動車を見れば分かると思います。

昭和五十三年規制で自動車一台一台の排ガスは日本は世界最高水準までいったわけだが、その後のサービス経済化の進行などによって自動車の台数がどんどん増加していった。

それで排ガスの総量は増大し、東京、大阪、横浜といった大都市では窒素酸化物の環境汚染の状況が改善しないどころか逆にここ二、三年悪化している有様です。

つまり技術に期待ばかりして、社会経済構造の変革をしないと、またその技術に対して期待がかかるわけですが、これはもう事実上不可能になる場合もあり、ついには袋小路に入ってしまうという現実があろうと思います。

それから、先進的な技術が、通産省の一〇〇年計画ではないが、いつかできる、できるまで待っていましょうというようなことになると、事態が一層深刻化するわけです。

だから、技術がないから対策ができないというのは開きなおり、言い訳でしかないと思います。

さらに、ブレークスルー技術などというのは、先進国のそれも大規模な事業所などに適用されるもので、たとえば風土や技術力の異なる途上国への移転などはなかなかむずかしいでしょう。

もう終わってしまいましたが、ついこのあいだまで、「エコカー減税」で、ハイブリッド車や、低燃費の車がかなり売れたようです。

最近では、タクシーまでもエコカーになっていますね。

車ももちろんですが、身近な生活や会社で使うものも最近では環境に配慮されているところが多いようです。

紙の再利用はもちろんですが、インクや印刷に使うものもリサイクルされているようです。

実はトナーもリサイクルトナーを使っているところも多いようです。

本当に、エコが一般的になってきて、少しでも住みよい地球になればなぁ。

プチ雑学~ その8

70年代の危機感は80年代に入って弱まるどころか、ますます強まった感があります。

また人間とモノとのかかわり方はより複雑化し、多様化しています。

今後も機器を造り続けざるを得ない日本のような国においては、ますますマンマシーンのあり方を重要視したデザインアプローチが不可欠なテーマとなるだろうと予測される。

将来的には、ハイスピードで研究が進んでいるテクノロジーは、従来のマンマシーンの関係を覆すポテンシャリティーを持っているかもしれない。

がしかし、現在においては70年代の苦悩に満ちた人間性の回復への努力を忘れず、人間と機器との対話を試みたいものです。

安らぎ

東室蘭から、輪西、御崎、母恋と長い長い鉄の町を通りすぎて、終点室蘭駅に行きつくと、北海道旅行者はほっとさせられる。


この町のどこかしっとりとした気配が、人々を安らぎの中にとけ込ませてくれるからです。


それは測量山の上から音もなくなだれて来て街角を包む霧のせいというよりも、その霧の流れに心の底までしめった、この町の人の心の陰窮のせいのようです。

プチ雑学~ その7

メカニズムに固執することなく、メカニズムを核とし、いかにそれに精神性や情緒性といった自然物としての人間のあり方との接点を見い出し得るデザインを与えることができるかが、マンマシーンデザインの大きなテーマなのです。

さて、ソットサスとボネットの一見まったく相反するかに見える二つの方向は、実は根底において同じ見解を示し、ある一つのことを目指していた。

それは過度の機械文明が引き起こした切実なる危機感の中で、人間と機械、人間とモノとのかかわり方を再度見直し、本質的には人間性の尊重を訴えかけていることです。

プチ雑学~ その6

70年代における機械技術は好むと好まざるにかかわらず急激な進歩を示し、機械をロボット化させるまでに至った。

この高度な技術が組み込まれた専門的な工作機械の分野において、機械をより人間に近づけ、機械との対話を試みたのがボネットのマンマシーンデザインです。

70年代初期から考案されたオリベッティ社の工作機械「水平軸マシンセンター、ホリゾン」シリーズは、日進月歩するテクノロジーと正面から向かい合い、後戻り不可能な現代の機械文明の中で何とかして機械をヒューマンなものにしようとした努力の結晶です。

従来の冷たい無機的な工作機械が、家庭内における家具がかくも、と思えるほどの暖かさのある丸味とホットな色彩で彩られています。

プチ雑学~ その5

デザインにおける基本的な要素であるはずの形態や色は否定され、完全に押しやられれて、人間と機械、人間と環境、そして人間とモノとの決定的な断絶を主張しているのです。

それに対して、もう一つの流れであったマンマシーンデザインとはどのようなものであろうか。

マンマシーンデザインの代表はロドルフォ・ボネットです。

ソットサスが家具インテリアの分野において人間とモノとの断絶を示し得たのは、家具というものがエルゴノミーという合理的科学性を持つものの、究極的には高度な技術とはかけ離れた、ある種の普遍性を担ったものであることに起因しています。

プチ雑学~ その4

ラディカルデザインと呼ばれる思想は、60年代後半からの全世界にわたる社会体制そのものに対する批判の渦の中から生まれたラディカリズムが、建築やデザインの領域に侵入したものです。

よって、ユートピアを否定し、体制の崩壊を目指すことによって政治機構や社会構造の革新化をはかろうとするラディカルデザインは、表現としての形態的な意味だけでのラディカルではなく、根本的には思想的な意味におけるラディカルであったと言えるでしょう。

ソットサスの「灰色のコンテナ」は暖かみの全然感じられない灰色のプラスティックコンテナに、タンスや本棚やベッドやイス、あるいはガスレンジや冷蔵庫、シャワー室等が収納され、それが延々と非人間的な環境を作り出しています。

プチ雑学~ その3

イタリアンデザインの70年代の動向は、大きく分けると二つの流れに向かっていたといえます。

一つは60年代の黄金期に確立された合理的機能主義デザインに真向から対立する、反デザインとでも呼べる流れであり、もう一つは対人間におけるあり方の再検討を行ったマンマシーンデザインの流れです。

前者の代表はエットーレ・ソットサスです。

彼は人間とモノとの断絶を主張し、70年代後半に「灰色のコンテナ」や「空洞の家」を想定した。

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